山の田浄水場建物群

佐世保の中心部までは5㎞ほど、車なら10分で行ける。水源地の背後にある山の田貯水池周辺は緑深い。浄水施設は2015年に一新され、設計、建設、管理、運営までが民間事業者に委託されている。
役割を終えた旧浄水施設の建物はフェンス越しに見ることができる。すべての施設が残されているかは不明だ。旧施設に関する情報は現地にない。



旧施設の正面入口だったと思われる場所からフェンス内を見やる。石造りのコンパクトな建物が目に入る。ヨーロッパの城を連想させる意匠だ。換気口のようにも見える窓上部には柔らかい曲線を描くアクセントが用いられている。入口の扉の右壁には2004年に土木学会選奨土木遺産に認定されたことを示すプレートが掲げられている。



フェンスを伝い歩くと、寄棟下見板張りの建物が目を引く。基礎部分は少なくとも石積みが4段組まれている。強固な基礎の建物だ。古い建物の並びの端には第1倉庫と表示されたスレート葺きの建物が並ぶ。背後は蔦に覆われ壁の色さえ判別できない。



フェンスから離れた敷地の奥に石造りの構造物が建つ。設備の機能はわからない。どうやら石の塀で囲まれていたようだ。入口はアーチ状の意匠が印象的な門構えで、上部に4つの石柱が突き出ている。これまたヨーロッパの城を連想させる。石で描かれたアーチは美しい。




旧山の田浄水場と隣接し新たな施設が整備されている。施設入口周辺にはアパートや住家が立ち並ぶ。貯水池の背後に広がる緑の山々とは対照的な町の風景だ。



旧施設の周辺では工事が進められている。旧施設の先行きが気がかりだ。消え去る運命でなければと願う。


山の田浄水場建物群
佐世保市桜木町7-16 
管理:佐世保市水道局 
土木学会HP
見学:フェンス越し
撮影:2017/5/28